Exhibition 小島有香子 Solo Exhibition 
2022年9月17日(土)~10月10日(月)  closed on 水・木 10/8 11001800




かさねの造形

同心円の層の広がりを、中心をずらして切り取った円形の膨らみは、清々しい月夜の吸い込まれるような光と、その満ち欠けを想起させる。斜めに重ねた層を、中央に研ぎ澄まされた稜線がくるよう削り出した葉形の塊は、規則正しい葉脈と、朝露に濡れた緑に映る柔らかな日の光を感じさせる。
小島さんが用いるのは熱線反射ガラスといい、表面が金属の皮膜で覆われた建材で、光の透過を遮り、日照を和らげる特徴を持つ。彼女はこれを接着して積層し、ある形を研ぎ出していくのだが、その発する光が柔和で幻想的なのは、この板ガラスの性質をうまく引き出したからに他ならない。また幾何学的な層を積み重ねたガラスは、マットに仕上げれば温もりを帯びた光を呈し、艶やかに磨き上げれば、見る角度によって、内部に実際より多くの線や面を浮かび上がらせる幻惑的な効果を生む。
かねてから透明なガラスの塊の内部の世界に惹かれていたという小島さんの造形は、幾何学的形態の基に、ガラスの内側に潜むかたちと外形とに、ずれや違いを生じさせながら、観る者に自然界の心象を呼び起こしてくれる。

土田ルリ子(富山市ガラス美術館 館長)



20年程前、ガラス造形の勉強のために実家のある千葉から自然豊かな富山に越してきました。日常に見える景色の中に美しい「自然の光」を感じ、その優しく柔らかく神秘的な光をガラスで表現しています。『積層ガラス』という技法で制作していますが、建築資材の板ガラスを何枚も貼り合わせて層を作り削ることで、模様や面の重なりができ、光の効果も加わって色と光のグラデーションが生まれます。そしてそれは見る方向によって表情が変化します。会場では是非いろんな方向から作品をお楽しみください。
代表作のLayers of Lightシリーズを中心に、ご好評いただいておりますLabyrinth(5cm程のCube)シリーズも今回は10種類(A〜J)を展示いたします。
ガラス作家 小島有香子




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