Artist statement
風景の観察を通して独自の視点で物語を構築し、既視感と未視感の狭間にある世界観を平面や立体作品、インスタレーションなどを用いて制作。ほんの一瞬の不確かな存在。失くしてしまったことに気づかないくらいのもの。それらの『ものいわぬもの』が、風景の断片にある”ものの在りかた”によって、”物語る”瞬間を切り取り視覚化しようと試みています。今回の展覧会では【クリプトクロム】や【切花(自然怪盗)】というシリーズ作品の新作を含め展示構成します。
【クリプトクロム】クリプトクロム(Cryptochrome)とはギリシャ語で『隠れた色素』という意味で、青色高受容体タンパク質のこと。朝に花が開いて夜になると閉じるといった作用を司る成分。”容易に視認出来ないけれども、確実に作用し存在する”そんな意味合いを側面に彩色した色反射「色溜まり」を引用し表現した作品シリーズ。
【切花(自然怪盗)】家にある『切花』は私達のより身近な生活風景の中で時間を共有する事になる。初日、ついに、さっき、このまえ…など、不確定で個人的かつ感覚的な時間軸を自然からの小さな盗み『切花』をきっかけに視覚化する試み。
Gallery statement
この度PONTEでは初めての発表となる小木曽瑞枝さんの個展を開催いたします。見過ごしてしまう程小さな存在に気付く事、その在りように心躍る事。小木曽さんの作品は楽しく愛らしく、しかし見えている世界と相対する自身の存在を囁くように問いかけてくる魅力があります。壁面へ展開する時間と存在をぜひご高覧頂ければ幸いです。